2020年度の実績として発表された桃の産地県それぞれの研究成果をまとめてみました。
2020年の県別収穫量は以下の通り。作況調査(果樹):農林水産省
2020年 都道府県別もも収穫量(t)
福島県 農業総合センター 果樹研究所
http://www.pref.fukushima.lg.jp/sec/37200a/r2seika.html
普及に移しうる成果
・モモ「川中島白桃」及び「さくら」は船便輸出を想定した低温貯蔵条件下で果実品質の変化が少ない
ただし、新梢管理は開⼼形の約 2.5 倍と多くの時間を要した。
主枝を水平にすることもあってか新梢がビンビンに伸びるようですね。
・モモせん孔細菌病は短期間の雨よけ処理と果実の袋かけを組み合わせて効率的に抑制できる
袋掛け終了後以降は雨よけ外して潅水不要にしましょうというもの。
・モモせん孔細菌病には化学的防除、耕種的防除及び物理的防除を組み合わせた総合的な防除対策が必須である
・モモうどんこ病は落花10日後頃の薬剤防除によって効率的に抑制できる
参考となる成果
・モモせん孔細菌病の発生には、土壌化学性や新梢長は、関係しない
・モモの摘らい・摘花に重点を置く早期着果管理は作業時間を削減できる
凍霜害が発⽣しやすいほ場や花粉の無い品種は、着果量が不⾜するおそれがあるので、本技術は実施しない。
霜の被害発生しやすいので実施は難しそうです。
・会津地域での「ひだ国府紅しだれ」を台木にした「あかつき」の樹体生育、収量及び果実品質
せん孔細菌病に強い系統を選抜しようという試み。はつひめは強いのか。
・炭酸カルシウム水和剤を加用した無機銅水和剤は落花期以降のモモせん孔細菌病対策に有効である
山梨県 果樹試験場
https://www.pref.yamanashi.jp/kajushiken/r02seika.html
・モモ「夢桃香」における満開後の平均気温による収穫期の予測方法
山梨県内への普及が期待できるとのこと。
長野県 農業関係試験場
https://www.agries-nagano.jp/research_result_search
桃関連見当たらず。果樹ではりんご関連が多かったです。
山形県 農業総合研究センター
http://www.pref.yamagata.jp/ou/norinsuisan/141002/kenkyuuseika.html
桃関連見当たらず
和歌山県 農林水産部 農林水産総務課 研究推進室
https://www.pref.wakayama.lg.jp/prefg/070100/070109/gaiyou/002/seika/kenkyuseika.html
桃関連見当たらず
岡山県 農林水産総合センター 農業研究所
https://www.pref.okayama.jp/page/615739.html
・モモ台木「ひだ国府紅しだれ」実生苗の安定生産のための発芽・育苗方法
新潟県 農業総合研究所
https://www.pref.niigata.lg.jp/site/nosoken/seika-r01.html
・水田転換畑への導入も可能なももの盛土式根圏制御栽培による早期多収技術
ももをY字斜立2本主枝に仕立て盛土式根圏制御栽培により養水分管理を行うことで、定植2年目から約1t/10a、3年目2t/10a以上と早期多収となり、慣行より大玉の果実を収穫できる。
福島では”V”字でしたがやりたいことは同じなんでしょう。
・多目的防災網施設を利用したモモせん孔細菌病の耕種的防除技術
多目的防災網を利用した防風施設は、高さ4mの果樹棚を設置し、天井部分を9mm クロス目合いのポリエチレン製ネットで覆い、側面を4mm 目合いのネットで覆う構造とし、展葉前の4月上旬から落葉期の 10 月下旬まで上部のネットを展張しもも園全体を被覆する
梨での多目的防災網は見たことがありますが、棚栽培なので必要な高さは決まっていました。桃で導入する場合、仕立てに気を使わないといけませんね。
青森県 農林水産政策課
https://www.pref.aomori.lg.jp/soshiki/nourin/nosui/hukyuugijutu_kajyumokuji.html
桃関連見当たらず
香川県 農業試験場
https://www.pref.kagawa.lg.jp/noshi/seika/syuyouseika.html
2018年度以降のものが更新されていない?
岐阜県 農業技術センター
http://www.g-agri.rd.pref.gifu.lg.jp/
桃関連見当たらず
愛媛県 農林水産研究所 果樹研究センター
桃関連見当たらず
全体を通して見てみると、農林水産省が示した新たな果樹農業振興基本方針の骨子案で示されていた、
盤強化策として骨子案では①省力樹形やスマート農業技術による労働生産性の向上、特に水田の活用や基盤整備と一体的な省力樹形などの導入②園地・樹体を含めた次世代への円滑な経営継承③苗木・花粉などの生産資材の安定確保──などを挙げた。
という、労働力不足の状況下において生産基盤を維持するための省力化がキーワードになっているように感じました。