2019年度の実績として発表された桃の産地県それぞれの研究成果をまとめてみました。
2019年の県別収穫量は以下の通り。作況調査(果樹):農林水産省
2019年 都道府県別もも収穫量(t)
研究内容のタイトルにリンク貼ってないので各県のページからどうぞ。
福島県 農業総合センター 果樹研究所
http://www.pref.fukushima.lg.jp/sec/37200a/r1seika.html
・モモ「はつひめ」の予備摘果は結実確認後の満開後35日頃までに行う
結実を確認できる時期(満開後 35 日)に予備摘果を行った結果、結実量を十分確保でき、果実肥大は満開後 28 日に摘果した場合と同程度だった。
今年は満開後30日あたりに実施したけど、もうちょい引っ張っても良さそう。
・基肥一発肥料利用によるモモの施肥作業軽減
・台木「ひだ国府紅しだれ」は深根性で根域はやや狭い
・「ひだ国府紅しだれ」は会津地域においてモモを安定生産できる台木である
・モモ「さくら」の花粉は正常に発芽する
採取場所及び樹齢に関わらず、「あかつき」等と同程度だったことから、「さくら」の花粉は正常に発芽していることを明らかにした。
受粉作業の必要は無いようです。
・モモ「まどか」の収穫開始適期は満開後112日頃である
・水圧を利用した摘らい方法は、モモジョイントV字トレリス栽培の省力的着果管理に有効である
・モモジョイントV字トレリス栽培は収穫時の作業負荷が軽い樹形である
・摘らい・摘花に重点を置く早期着果管理により核障害を助長させずに大玉「あかつき」が生産できる
初期生育を促し樹勢向上させるとともに、核障害を助長すること無く大玉果実生産が可能である。
近所にある桃の達人一家の畑は毎年花が薄いんですよね。母数が少ないところから摘果スタートだと、障害果を見極めるスキルが必要なのかなと思います。あと、霜が降りやすい圃場はやめたほうが良さそう。「来年は薄くしよう!」と決意するもののなかなか攻められないの繰り返しです。
・日持ち性に優れ食味良好な「モモ福島17号」の育成
「ゆうぞら」と同時期の収穫で食味が良好であり、日持ち性に優れ輸出にも対応できる特性を持つ「モモ福島 17号」を育成した。
ゆうぞらの時期は代わりの品種も含めて何を育てるか悩ましいので期待してます。輸出は7月にニーズがあると聞いたことある気がするので、早生で日持ちが良い桃あればと思うけど無いものねだりか。
・モモの「毛じヤケ」の原因はリンゴうどんこ病菌である
山梨県 果樹試験場
https://www.pref.yamanashi.jp/kajushiken/r01seika.html
・極早生で食味・着色に優れるモモ新品種「ひめまるこ」の特性
農研機構が育成した品種。6月に収穫できそう。
・各種台木がモモ枯死症の発生や生育に及ぼす影響
枯死症の発生がみられるほ場では、「ひだ国府紅しだれ」および「払子」を台木とした苗木の導入が選択肢となる。
福島県の報告に、「ひだ国府紅しだれ」は「おはつもも」に比べ、モモ樹の主幹障害の発生が少ないとの内容があったので、樹木にトラブル抱えている園地では一考する価値がありそう。
長野県 農業関係試験場
https://www.agries-nagano.jp/research_result_search
桃関連見当たらず
山形県 農業総合研究センター
http://www.pref.yamagata.jp/ou/norinsuisan/141002/kenkyuuseika.html
桃関連見当たらず
和歌山県 農林水産部 農林水産総務課 研究推進室
https://www.pref.wakayama.lg.jp/prefg/070100/070109/gaiyou/002/seika/kenkyuseika.html
桃関連見当たらず
岡山県 農林水産総合センター 農業研究所
https://www.pref.okayama.jp/page/615739.html
・モモ「白皇(岡山PEH7号)」を大玉化する着果管理技術
岡山県が育成した新品種なんですが、福島県と違ってネーミングに重厚感がありますね。
・所得を最大化するモモの品種組合せモデル作成支援ツール
・モモ新品種「白皇」、「白露」の導入効果の試算
・モモ台木「ひだ国府紅しだれ」実生苗の安定生産のための発芽・育苗方法
流行りなんでしょうか、ひだ国府紅しだれ。
・モモのおいしさの数値化
・岡山県産モモのおいしさ(味、食感、香り)の特長の視覚化
機器分析値から推定した官能評価値を用いることで、モモの品種による味と食感、香りの特長を視覚化することができる
低評価を受けてしまった品種の魅力を伝える文章作成が文系の仕事。
・岡山県産モモとブドウのおいしさのPR資料と素材集の作成
新潟県 農業総合研究所
https://www.pref.niigata.lg.jp/site/nosoken/seika-r01.html
・水田転換畑への導入も可能なももの盛土式根圏制御栽培による早期多収技術
ももをY字斜立2本主枝に仕立て盛土式根圏制御栽培により養水分管理を行うことで、定植2年目から約1t/10a、3年目2t/10a以上と早期多収となり、慣行より大玉の果実を収穫できる。
福島では”V”字でしたがやりたいことは同じなんでしょう。
・多目的防災網施設を利用したモモせん孔細菌病の耕種的防除技術
多目的防災網を利用した防風施設は、高さ4mの果樹棚を設置し、天井部分を9mm クロス目合いのポリエチレン製ネットで覆い、側面を4mm 目合いのネットで覆う構造とし、展葉前の4月上旬から落葉期の 10 月下旬まで上部のネットを展張しもも園全体を被覆する
梨での多目的防災網は見たことがありますが、棚栽培なので必要な高さは決まっていました。桃で導入する場合、仕立てに気を使わないといけませんね。
青森県 農林水産政策課
https://www.pref.aomori.lg.jp/soshiki/nourin/nosui/hukyuugijutu_kajyumokuji.html
桃関連見当たらず
香川県 農業試験場
https://www.pref.kagawa.lg.jp/noshi/seika/syuyouseika.html
2018年度以降のものが更新されていない?
岐阜県 農業技術センター
http://www.g-agri.rd.pref.gifu.lg.jp/
桃関連見当たらず
愛媛県 農林水産研究所 果樹研究センター
桃関連見当たらず
全体を通して見てみると、農林水産省が示した新たな果樹農業振興基本方針の骨子案で示されていた、
盤強化策として骨子案では①省力樹形やスマート農業技術による労働生産性の向上、特に水田の活用や基盤整備と一体的な省力樹形などの導入②園地・樹体を含めた次世代への円滑な経営継承③苗木・花粉などの生産資材の安定確保──などを挙げた。
という、労働力不足の状況下において生産基盤を維持するための省力化がキーワードになっているように感じました。