桃の栽培を社会人が学ぶ場合の案


昨年末、他県にお住まいの社会人男性の方から桃の栽培を手伝いつつ学びたいとのお問い合わせがありました。今回のタイミングでは体制が整わないためお断りさせて頂きました。

桃の栽培を学ぶとした場合、学生であれば農業系の学部が設置されている高校や大学、専門学校等に行く方法が一般的かと思うのですが、社会人の場合はどのような選択肢がるのか案を出してみます。

1.年間通える場合

親元に就農する場合などで、計画があり研修終了後に生活できる見込みが立っている場合であれば、仕事を辞めて年間を通して研修を受ける案があります。作業を反復して行えるので課題や疑問を見つける機会が増えますし、指導者に質問しやすいなどのメリットがあります。

1-1.自治体の研究機関で研修

国や都道府県にある農業研究機関では、研修生を受け入れているところがいくつかあります。都道府県の場合はその自治体に産地があり、力を入れている作物を取り扱っています、桃の産地といえば山形、福島、長野、山梨、和歌山、岡山あたり。

農研機構(農業・食品産業技術総合研究機構)は、国立の研究開発法人です。場所は茨城県つくば市で、桃の産地といったわけではありませんが、最先端の研究も行っており、人脈を作っておくことで研修終了後も最新の情報にアクセスしやすいかもしれません。

福島県農業総合センターにおいて、対象を果樹に絞った果樹研究所は福島市にあります。私はここ行きました。5人中私含む4人が社会人経験者の30代でした。福島県内でも桃の産地は県北に偏っており、現場に近い環境で栽培管理を学ぶことができます。現場の農家さんに話を聞いたり、樹を切らせてもらったりすることもできました。同期は近場のことが多いので、そのつながりは就農後も役に立ちます。

山梨県や長野県、山形県など他の産地がある県でも年間の研修生を募集しているはずです。

1-2.農業法人で研修

県の就農支援制度を利用し、農場法人で研修を受ける案です。

上記ページの左側下の方に、「研修受入ができる農業法人等」というpdfファイルのリンクがあります。

桃は県北の福島市、伊達市、桑折町の4箇所あります。自治体の研究機関とは異なり経営者の色が出ると思うので、自分に合うところを選べば良いと思います。いずれも距離が近く栽培の観点では大きな違いは無いと思われます。

自治体が案内している農業法人等での研修も、自治体が実施している研修同様に他の産地県でも実施しているでしょう。

1-3.道府県の農業大学校に通う

ほとんどの道府県には農業大学校が設置されており、その中から桃を栽培するカリキュラムがある学校に通う案です。学費を払う立場なので、先生に教えてもらうという点で研修とは異なります。座学も多いでしょう。

以下にあげた福島県の農業短期大学校であれば、桃の栽培を学べるでしょう。学科の紹介に桃の写真があります。

出願資格に年齢の上限は設けられていませんが、関係者に聞いたところ、高校を卒業して入学する人がほとんどだそうです。社会人経験者はたまにいるとのこと。

2.週末等の休日に限られる場合

就農することを決めきれていない場合や、収入面で現業を辞めるわけにいかない場合、週末の土日で学ぶ案があります。

2-1.自治体の研究機関で研修

社会人の状況を鑑み、土日に研修を実施している自治体があります。

この記事を書いている時に調べていて知りました。東京で会社員をしていた頃に知っていれば行ってみたかったです。桃を栽培する場所が山梨以外の都道府県であったとしても、山梨のやり方を学んでおくことは有意義だと思います。福島の現場でも山梨の情報には敏感です。

  •  市町村の自治体やJA主催の農業塾

桑折町(JA桑折営農センター)では、月イチで週末に初心者向けの桃栽培研修を実施しています。担当者に確認したところ対象者は桑折町の人とのこと。秋くらいにチラシが出回ります。

JAや市町村などが主催する研修webには情報がない場合や、条件に組合員であることや地域を限定していることが多いので、地域の関係者に直接聞くのが良いかもしれません。

2-2.学校に通う(桃の栽培は確認できず)

週末のみ開講される民間の学校もあります。例えば、アグリイノベーション大学校のような所です。こちらはカリキュラムを見る限り果樹栽培は無いようなので、具体的な技術を学ぶ前に植物生理の理論や、農業経営を学びたい場合に検討してみて下さい。

2-3.農家で手伝いorアルバイトをしつつ学ぶ

仕事の休みが週末の土日に限らない場合や、決められた日に参加することが難しい場合は、事情を説明し農家さんに相談してみるのも有りかもしれません。アルバイトとして働く場合だと、働ける最低日数を決められていたり、栽培に付随する単純作業だけになったりすることも考えられるので、事前に相談したほうが良いでしょう。無給でお手伝いといっても同様です。なかなか最初のハードルが高いですが、教えるの好きな農家さんいます。

研修の地域はどこがよいか

可能な限り自分が桃を栽培する土地に近い地域にある場所で研修受けることが望ましいです。ただし、都道府県や市町村、JAが実施している研修の場合、それぞれの自治体やJA管内の地域で就農することを条件にしている場合があるので注意してください。とはいえ、お願いすればなんとかなるかもしれないのでとりあえず問い合わせてみましょう。

読むべき書籍

下記の2冊はどちらか一方あれば良いです。桃栽培の具体的な内容が書かれています。とはいえ本だけ読んでもいざ畑に立ったとき具体的に何をすればよいか分かりません。現場で作業をしつつ本を読んで整理していく利用方法で。

具体的栽培技術の前に、果樹園芸に対する知識を体系的に学習したい場合は以下の本がおすすめ。

就農を考えた時にまず確認すべき情報

農業を始めたい、始めるかどうか検討したい、けど何から始めたらよいか分からないという場合はまず農林水産省や都道府県が管理している就農支援情報にアクセスするのがよいでしょう。何をすべきか全体像をつかめます。現場に近い人のほうが詳しい場合もありますが、持っている情報の範囲が狭かったりアップデートされていなかったりする場合もあるので。

農業を始めたい皆さんを応援します!:農林水産省

ふくしまの就農支援制度 – 福島県農業振興公社青年農業者等育成センター


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