2018年度版 桃産地県の研究成果まとめ


2018年度の実績として発表された、桃の各産地県研究機関の桃に関する成果をまとめてみました。

同年の収穫量は以下の通り。

2018年 都道府県別もも収穫量(t)

福島県

平成30年度研究成果(春夏作) – 福島県ホームページ

モモ「あかつき」の核障害多発要因

(1) 本情報は、中生品種「あかつき」の調査データに基づくものである。.
(2) 硬核期頃の急激な果実肥大は核縫合面の割裂を促すおそれがあるため、硬核期頃は過度な摘果をできるだけ控える。

硬核期に摘果しなければなお良いのでしょうが、作業進捗的に現実的ではないですよね。

モモせん孔細菌病の春型枝病斑の発生傾向と病斑のせん除による防除効果

(1) 1年枝の先端部と比較すると割合は低いが、春型枝病斑は1年枝の中央部や基部にも発生するため、見逃さないよう注意する。特に樹冠上部に発生した病斑を放置すると病斑直下での被害が大きくなるため、重点的に病斑せん除を実施する。
(2) 病原細菌は降雨によって病斑から周囲に飛散するため、発病部位のせん除は可能な限り降雨前に実施する。

普及員の先生は高枝切り鋏の使用をおすすめしてました。弊果樹園でも使ってます。数芽だけ切るのではなく、できれば枝を全て切り落としましょうとのこと。

山梨県

山梨県/平成30年度研究成果情報

新しい肉質のモモ「甲斐トウ果17」の収穫適期の把握と収穫期の果実の特徴

4.落下試験の結果、50cm 程度の高さから果実を落下させても果実外観の異常や果肉褐変は発生しない

相当硬い桃のようです。

モモの海上輸送による輸出に対応した耐圧ダンボール箱の効果

輸送中の果実への衝撃は、国内の手積み時によるものが多いため、取り扱いに注意する。

実はこのへんに効果の大きい改善の余地がありそう。

モモ中晩生種の大玉果の比率を高める着果調整方法

摘蕾・摘花を強めにし、最終着果量を少なくしましょうという話。凍霜害のリスクや収穫直前にロスした際のダメージが大きいので取り入れるかどうか要検討したいところ。

長野県

研究成果検索 | 長野県農業関係試験場

もも「なつっこ」の仕立て法の違いによる樹体生育、収量性及び果実品質

(3) 4本主枝整枝は、開心自然形に比べ、樹冠面積はやや大きく、樹冠面積当たりの新梢本数は多く、樹冠面積当たり収量は 3.56 ㎏で 1.4 倍であった。果実品質では、果重はやや小さかったが、糖度、食味指数は高かった。1樹当たり着果管理及び袋掛けの作業時間は、開心自然形の1.6 倍を要したが、収量当たりの作業時間は同等であった。

開心自然形と多主枝整枝、4本主枝を比較しているのですが、報告を読むと4本主枝が優れているように読めます。ただ、試行的な整枝方法なので普及員とよく相談してねとのこと。ちなみに弊果樹園では3~4本主枝です。

もも「ワッサー」の品種特性

「ワッサー」は、「山根白桃」と「水野ネクタリン」の混植園で発見された偶発実生から育成された桃です。育成地であるためか、長野で多く生産されているようです。

山形県

研究成果 — 山形県ホームページ

※桃についてみあたらず

和歌山県

研究成果 | 和歌山県

※桃についてみあたらず

岡山県

農業研究所 – 岡山県ホームページ

モモ新品種「白露」の無摘蕾、予備摘果省略による省力的栽培

モモ新品種「白露」の食べ頃の判断基準

「白露」は岡山県内でのみ栽培可能な品種です。

「ひだ国府紅しだれ」台を用いたモモ樹の作業性

[要約]
「ひだ国府紅しだれ」台を用いたモモ樹は、慣行台樹と比べて、10a 当たりの総作業時間
には大きな差がないが、脚立を用いた作業時間割合が低く、特に高段位での作業時間が短
いため、作業負担が小さい。

福島県では主幹障害の少ない台木である点に注目していましたが、こちらの報告では樹高が低く抑えられる点に注目しています。福島県の報告では初期収量が少ないが生産効率は高いとあるので、主幹障害の少なさに加え2つの利点がありなかなか優良な台木のようです。

受粉用モモ花粉の発芽率を高めるための長期冷凍貯蔵条件

[要約]
人工受粉用の花粉を冷凍貯蔵する場合は、24 時間以上開葯し、含水率 20%以下で冷凍すると発芽率が高くなる。

福島の場合、受粉用の花つみをしてから花粉交配まで数日で終わらせてしまうのが一般的ですが、岡山では花粉交配が必要な品種が多いと聞くので、冷凍貯蔵のニーズがあるのだと思われます。


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