農業、とりわけ果樹栽培は、ファミリービジネス(家族経営)の形をとる利点が大きいと思います。農”家”というだけあって、家族経営は当たり前かもしれませんが、最近は既存法人の農業参入等をよく聞きますので改めて考えてみました。
樹木の寿命
現在研修を受けている果樹研究所にて、昨日梨の木を伐採しました。こちら49年だったそうで、もちろん昨年も実がなってました。
他の樹はというと、桃もりんごもだいたい50年くらいです。ただし、年をとった老木になってしまうと、経済的に効率的ではないので、十分な品質で収量を確保できるのは、20〜30年といったところでしょうか。
いきなり果実を収穫できるわけではない
現場の農家においては、種から樹を育てることは少なく苗木を植えるところから育てることが多いですが、それでも数年かかります(桃栗三年柿八年というやつ)。樹の能力が最大に発揮される(十分な収量が確保できる)ようになるためには、さらに数年かかります。
どんな経営判断をするか
樹を植えても果実を収穫できるようになるまで数年かかるわけなので、投資のタイミングからそれを回収できるタイミングが大きく開きます。
もしサラリーマン社長だったらどんな判断が合理的でしょうか。いつまでも社長でいられるかわからないので、自分の成果にカウントされない可能性がある投資には及び腰になるかと思います。収量を確保できるまでの期間を短くする栽培方法もとれますが、それだと経済的寿命が短くなってしまう傾向にあります。
もちろん、そんな社長ばかりではないですが、シャープや東芝のように実例があります。
家族経営の強み
家族経営であれば、「経営を続ける」=「社長でいる」ことなので、短期的な利益だけでなく、長期的な利益も含めた経営判断が合理的になります。”家族”なので、自分の代だけでなく、次の世代に期待し引き継ぐという選択もありです。
そうはいっても技術の進歩はすさまじいので、野菜工場のように、果樹も効率的に工場で生産され、資本を持った企業が強い時代が来ると思います。「果樹栽培の機械化は難しいからだいじょうぶ」などと凝り固まらないように気をつけたいものです。